インタビュー: 岩瀬 海

Articles

Dec 6,2023

岩瀬海は1998年、三重県出身の作家。現在は秋田県秋田市を拠点にしている。

岩瀬海の制作活動やバックグラウンドについて少しインタビューを行った。

ご自身のバックグランドについて少し教えてください。

三重県の鈴鹿市というところで生まれ育ったのですが、そこはモータースポーツの街で家のすぐ近所には大中小限らずたくさんの工場がありました。親の仕事も車の部品を作ったりと、幼い頃からものを作るということが身近にありました。 高校生では美術科のある学校に進んで、そこから本格的にものづくりを学び始めました。最初の志望動機は美術がしたいというよりも、制服にズボンがあるかどうか、ただそれだけで選んだ気がします。結果的にすごくいい選択でした。 その時から平面よりも立体物に興味があり、テーマもジェンダーやセクシャリティを中心に作れないかと悩んでいました。当時は今ほどLGBTQやフェミニズムなど、メディアでもあまり取り上げられないトピックだったので、本当にこんな個人的なテーマでいいのかと、1人で悶々としていました。 この悶々とした気持ちは京都で美術大学に進学した後も続きましたが、とりあえず作っていました。私には姉が4人と妹が1人、母子家庭なので、フェミニズムなどに関心が向くのは今思うと必然だった気がします。 京都の大学を卒業後は、秋田の美術大学の大学院へ進学しました。ここにきてようやく自分の作りたいものや、やりたいことが明確になり自信を持って制作に打ち込めるようになりました。 

成長期の過程での興味の矛先はどこにありましたか? 

アニメや漫画、アイドル、それとスポーツは人並みに好きでした。 中高生の時は、ピアスや身体改造にハマってましたね。ファッションとして、自分の身体に穴をあけたり色をつけたり、それがとても不思議で、今でも魅了されます。

アーティストとしてのキャリアはどのようにして始まりましたか? 

京都の大学を卒業後、秋田の大学院に来てからだと思います。それまでは大学の中や近しい場所での展示しか経験がなく、見に来てくれる人も私のことを知っている人だったり。秋田にきてからは外で展示する機会も増えましたし、作家として作品を説明することがどういうことなのかを考えるようになりました。 また秋田の大学には私のことを深く知っている人もおらず、先生方も作家として接してくれていたように感じます。 

あなたにとってのインスピレーションは何ですか? 

展覧会を見に行ったり、映画を見たり、本を読んだりはもちろんですが、散歩したり、植物のお世話をしている時に強く沸いてきたりします。あとは自分含め人間の身体や動物の身体を意識的に見た時ですかね。 

好きな作家は誰ですか?

好きな作家さんはたくさんいます。 ドリス・サルセドはその中でも特に関心が強いです。 

作品を作る中で一番エキサイティング、魅了される場面はどんな時ですか? 

基本手を動かすのが好きなのでどの工程も楽しいですが、強いていうなら作品を閃いた時と、完成間近のディテールの作り込みの時ですね。あとは、粘土で原型を作った時の型から粘土を抜く作業です。あの作業はとても中毒性があります。

プロフィール

1998年三重県生まれ。秋田公立美術大学複合芸術研究科 修了。
主にジェンダーをテーマに人毛や革、コンクリートや FRP、木や鉄といった様々な素材を用いて彫刻作品の制作を行っている。差別などの普遍的な暴力に目を向け、鑑賞者の当事者意識を問い直すのが目的である。

関連作家