グループ展:AFFORDANCE
Exhibitions
Eunoiaではこのたび、KITAHAMA N GALLERYにて、PAGIC GALLERYとの合同展を開催いたします。本展ではEunoiaから、平田基、マヤ・マルムクロナ、ミーヨン、ジャズ・ヅゥー・イン・チェンの4名の作家を紹介いたします。
Eunoiaのグループ展のテーマはAFFORDANCE(アフォーダンス)。認知心理学における、環境が人間をはじめとする動物に対して与えている価値や意味を指す言葉で、アメリカの心理学者であるJ=J=ギブソンが考案した造語です。ドアノブがついたドアは、ドアノブを動かすことでドアを開ける選択肢があることを我々に示します。現代美術と鑑賞者にはどの様なAffordanceが存在するでしょうか。現代美術の価値や意味は常に問われていますが、それは我々鑑賞者によって変化していくこともあります。ある思想やコンセプトに基づいて作家によって作り出された作品は鑑賞者や展示場所という”環境”によって新たな意味が生まれ、第三者的価値がつけられていく。鑑賞者が作品の意味を考えている時点で、それは作品に新しい意味を与えていることと同じではないのか?また逆に、作品のAffordanceによって我々鑑賞者はどの様な選択肢を与えられているのか?現代美術の持つ膨らみや意味の拡張性、そのAffordanceを、少しでも体感していただければと思います。
出展作家
平田基は1993年三重県生まれ。現在は京都を拠点に活動。日常の何気ない疑問やきっかけをもとに、独自の世界を構成して絵画に落とし込んでいくプロセスで作品を制作し、その世界観を鑑賞者と共有している。近年は鉛筆画のみで構成し、漫画調に仕立てた書籍を出版するなど、精力的に活動している。シュルレアリズムを思わせる平田の作品は鑑賞者の思考を取り込み、その思想と創造の世界に引き込まれていくだろう。
マヤ・マルムクロナは1993年スウェーデン生まれ、スイス在住。スウェーデンのウメオ大学建築学校で建築を学んだのち、グラスゴー大学にて哲学の修士号を取得、現在はチューリッヒを拠点に活動する。建築、哲学を学んだバックグラウンドから、空間とそこから生まれる我々の体験に興味を抱き、それをテーマとして制作をしている。日本の作家や文化からも影響を受け、独特の雰囲気を醸し出すその作品群は観るものを引き寄せる。空間とそこから生じる経験や感覚を徹底して意識し、作品をものとしてではなく経験として提示するその姿勢を見ると、現象学の実験を繰り返えされているかのような感覚に陥る。
ミーヨンは1963年ソウル出身、パリ写真学校を経て現在は東京を拠点に活動。自身のアイデンティティを根底にした作品群を発表、また執筆活動にも力を入れており数々の書評を得ている。哲学や思想、信仰などをモチーフに作品を制作している。本展では作家本人が子供の頃に経験した体験をもとに制作された作品群を展示予定。マルティン・ブーバーの著書、『我と汝』に影響を受けた本作品はその哲学的思想を根底に様々な広がりを見せる。長岡造形大学美術工芸学科にて非常勤講師も務める。
ジャズ・ヅゥー・イン・チェンは1990年、台湾出身。イギリス、ヨーロッパ各国で10年活動したのち、現在は台北のレジデンスを拠点に活動。ロンドン芸術大学セントラルセントマーチンズで修士号を取得したのち、台湾、ヨーロッパ各地で作品発表を重ねる。チェンは解剖学や医療の文献にあるイメージの美しさやグロテスクな面、そして神話や伝説(北欧の神話や山海経)などに興味をもち、作品を制作している。それらの解剖された構造的イメージを(に手を加えor元に戻す様に)して伝説的妖怪や植物のディティールを加えてタブローに描き起こす。タブローを通じて彼女にとっての文化的摩擦や迷信、自身の台湾のルーツ、愛の様相を表現している。